2017 第1章
ー to SHIMANE ー

LANI&MOO
「車泊の旅」コバルトブルーを求めて編。
山口県にコバルトブルーの美しい海があるという。
その1つの地点だけを決めて
それ以外はどこを通るかも
いつ着くかもわからない旅が始まった。


Photos by moo kitamura&Many supporters.
Text by BLUER / Naoko Tanaka

今まで「車泊の旅」で明確に語ってこなかったことから話したいと思う。

旅人のMooこと北村吉代は、今でこそ一戦を退いたサーフィンのプロ選手。まだ試合には出ることは可能なのだが、怪我の影響などもあって現在はコンペの道からは遠ざかっている。

プロのサーファーともなれば、波を求めて日本全国を旅することは多々あり、国内サーフィンの試合は日本の各地で行われているために「旅」は慣れた”行動習慣”という背景と、なかなか宿泊施設が充実しない愛犬との事情もあって、彼は愛犬と自由に車に泊まり移動することが可能な「車泊の旅」というスタイルで、日本全国を旅している背景がある。

全国といっても、サーファーが集まる場所や試合開催地はある程度は絞られているから、北村自体も未踏の場所は数多くある。今回、彼の知らない場所が、日本海西部となる島根県、山口県というエリアだったのだ。

日本は大きな島国だ。入り組んだ海岸線を持つ日本は2万9751km*で世界6位の長さを持つ海洋国でもある。

日本の地理から言えば、西高東低の気圧配置の影響で冬は日本海側に波が立ちやすくなり、それ以外は台風の影響を受けやすい太平洋側を含めて春~秋は太平洋岸に波が立ちやすくなる。地元の方々は当然、一年を通じてよく知るところではあるが、日本海というのは一般的にはサーフポイントとして京都,石川などの一部エリアを除いて、誰もがカジュアルに行くことが可能なメジャーな場所というわけでもなく、特に日本海の中でも中国地方となる日本海西部は、未踏のエリアといっても言い過ぎではないのだろうと思う。

日本海西部は、湘南や千葉、愛知、九州のように、比較的海岸線に近いエリアに人びとが居住していないこともあって、海の状況が発信されないことが理由だろうか。実は日本には発信されない魅力的な海が無数にある。しかし、どんな専門誌、情報サイトにとっても、詳細が明かされず「今」が把握できない魅惑の海、それが日本海西部の実態でもある。

出発は常に波を左右する気圧配置、曜日、道路状況による時間など、総合的に彼自身の直感も含めて出発タイミングを決める。だがら、この企画をすすめるBLUER編集部にとっても、いつ出発するのかがわからない。北村本人にとっても、出発はいつも、いても立ってもいられない夜になる。

天候は、あいにくの雨だった。
通算で、出発時に雨の日の確率はなぜだか高いという。雨男なのだろう。いや、混雑を避けて晴天以外をおのずと選んでいるからなのか…。

今回の「車泊の旅」の最大のテーマは コバルトブルーを求めて。

昨年の暮れに訪れた福岡の旅で、北村が知人から見せられた一枚の写真が発端だったという。
その写真には"日本海”というイメージにはない「コバルトブルー色」の壮大なロケーションの海が写っていた。
この謎のエリアに、なぜ、そんなコバルトブルーの海があるのだろうか…。

北村の先祖の墓がある新潟の海には、この「車泊の旅」を含めて数度、訪れているが、同じ日本海なのに、まったく違う海の光景を目にしてしまった瞬間に、即答で行ってみたいと思い、今年の正月明けの長旅の帰り路に、その景色を見がてら寄り道して帰ろうと考えていた。ところが、当時最大の寒気が迫っていて山間部道中は大雪の恐れがあるとの情報で断念。強行突破していたら、おそらく遭難するほどの悪天候だった。

その後、どうしてもその場所が気になり、波もあってサーフィンもできるというその魅惑の海に、どうしても行きたくなったという。

真夏は過酷だ。それに日本海という地理上、真夏になると波は立ちにくくなる。その前に、この地を見ておきたかった。BLUER編集部も、日本海西部の海の実態はわからなかったことが決め手となり、この旅を決行しようと決めた。

今回の「車泊の旅」は「コバルトブルーを求めて編」となったのだったが、今にして思えば前回の旅の帰路にさっと立ち寄るのではなく、じっくりとその土地とふれ合いなさいよ、と用意してくれた「メッセージ」だったのではないか。

なぜこの地が今回選ばれたのか、、その必然とでもいうべき「結末」が待っていることを、先に述べておくことにする。

そのコバルトブルーの海は山口県にあるが、彼の性格からして、一気に高速で辿り着きたい気持ちだったのだろうが、あえて行ったことのない島根県経由でチェックインしようと考えた。
最初に浮かんだのは、出雲大社。古事記にもその創建が記されるほどの古社であることでも有名な神社である。

BLUER号のナビの最初の目的地を「出雲大社」にセットして、北村と愛犬ラニの長旅は幕を開けた。

旅なれたもの、おごるべからず。

旅人は4,000キロを超える長距離運転の旅を数度行っているため、今では東京から近畿までの距離は遠いと感じなくなったという。慣れとは怖いものである。
運転には自信があっても、さすがに700km近い距離をノンストップで行くのは危険である。

時間的に急いでいるわけでもないのに、なぜだかはやる気持ちで走行させてしまい腰痛を悪化させてしまった過去の辛い経験。あの時は編集部でさえ、旅のゴールのお祝いをしたかったというのに、そんな喜びの抱擁さえできぬほどだった。コンペティター=「戦いし者」とは、車の走行さえ、戦いなのだろうか?

今回は、そんな経験をふまえて相棒のラニにも十分に休憩してもらうために、また眠気覚しのために歩くのも必要とあって、何度かサービスエリアで休息をとったという。

目的地「コバルトブルー」の海は山口県にあるが、地図で見ればわかるとおり、島根県から山口県までの日本海に隣接する道路が長く長く続いていて、その先に目的地はある。途中、道は内陸へと入り組んではいるものの、電車も海沿いを走行していることを知り、ふたりは下道走行を決行。米子ICで高速道路を降り、下道で出雲大社へ、旅の祈願をすることにした。

出雲大社へ到着したころには、運良く雨も止んでいてくれた。

早速、神社のパトロールを開始。ここは由緒ある神社であることは知っていた。荘厳な社を前にして、この神社にどんな歴史があるのかをもっと知りたくなった。
日本を代表する観光地ということもあり、観光団体のガイドが神社の説明をしていたので近寄り、図々しくも聞いてみようとそばに行ったが、集まっている大勢の観光客は外国人。耳をそばだてて聞いたはいいが、言葉がわからずに、無料解説は断念したという。

出雲大社の境内の敷地は広大であり、神秘、荘厳そのものだ。

いわずもがな、この神社は人、物、縁などあらゆるものを「結んで」くれる力を持つとされ、年間250万人もの参拝客が訪れる日本を代表する神の住む場所である。

特殊なのは参拝方法で、神社では一般的な「二礼、二拍手、一礼」とは違い「二礼、四拍手、一礼」という独特の拝礼方法を間違えてはいけない。

余談となるが、島根の出雲大社に行きたくても、なかなか遠方で行くことができないならば、東京の六本木のど真ん中に出雲大社・東京分祠があるのをご存知だろうか。六本木ヒルズから首都高速を挟んだ少し奥まったところに、その分祠はひっそりと佇んでいる。出雲大社の御祭神である「大国主大神」の御分霊が奉納される都内唯一の場所であり、明治初期に設立されている。

さてふたりは、何千年も息づいている松の木に圧倒されながら、神秘の空間を探検した。並木の素晴らしさが歴史を感じさせる。国宝である御本殿は、先述の「大国主大神」が祀られるもっとも神聖な場所へと足を運ぶ。建物は国宝に指定され、日本最古の建築様式のひとつとされる。

北村にとって強く記憶に残ったのは「しめ縄」のある神楽殿だったという。神楽殿は結婚式が行なわれる社殿ということで縁結びの神社ゆえの縄なのだろうか。写真に映るラニはどこか嬉しそうでもあり笑顔そのもので写っている。その笑顔が北村にとって特別だったのかもしれない。

出雲大社を後にし、すぐそばのパワースポットであるという「稲佐の浜(いなさのはま)」へ向かうことにした。

日本の海を巡っていると、海のそばの神社を目にすることがある。土地によっては、神社は海から離れた高台に作るのが常であるという話も聞くが、この「稲佐の浜」はおそらく、特別な神社であることがわかる。

地理上、出雲大社から真西にあるというこの浜は、日本全国のよろずの神々を迎える場所だという。日本中の神がやってくる出雲大社を迎えるこの海は、ゆえにとても神聖な場所で、写真のように、浜の中央に大きな岩、ここにも神が祀られている。

「海」とは、神が通る場所である。

人は自然の前に無力でもある。自然への畏敬の気持ちが湧き上がる。この浜を前にすると、自分が海の恩恵によって生きていることを視覚的にも教えられるのだ。

この日、波は小さくサーフィンすることは出来なかったというが、先を急ぐふたりは、この先に待ち構える「魅惑の海」を求めて、高速道路ではなく下道で、海岸線をさらに西へ走らせることにした。

海岸線は情緒に溢れた昭和な作りの家がポツリポツリとあるだけだ。何もない海。ただ、それは何もないがゆえの、素晴らしい海。
日本の海を多く訪れてはいるものの、こうして人工物がない手付かずの海を見ながら、ただただひたすらに、車を走らせるふたりがいた。

何もない、手付かずの自然、長い海岸線、田舎の景色、潮のにおい…。

これが島根…。

ゆらぎのような心地よい周波数を感じていたのだろうか。そんな不思議な空気を感じながら走行していたときは、おそらく、ふたりは「無」であったのではないか。これは筆者の私の想像でしかない。

島根の空気感に触れ、北村はどこか不思議な安息感、つまりそれは「日本の本来ある、豊かな海」そのものを見てしまっ衝撃だったのでははないだろうか。

島根をあとにしてから、その衝撃が心に突き刺さるほどの光景だったのだと、語る北村が印象的だった。

波が立っている場所を数多く目にしたという。
寂しげにブレイクしていたという。
そんな島根の海に、いつしか、魅了されていったこの日、この波の音が聞こえる、何でもない場所で、ふたりは車泊することに決めた。(つづく)


-Special Thanks CARVIN-


「車泊の旅」のベッドキットをサポートしてくれているのはベッドキッドの老舗メーカー「CARVIN(カーヴィン)」。
このベッドキットを使って20年にもなろうとしている。
いつも快適なのは、ベッドキッドの品質の良さ。ベッドとして十分なクッション性も兼ね備え、収納も十分に備わったな万能キットだ。
そして今回のBLUER号は、ラニさんが動きやすいようにはじめてラニ専用の助手席自体も外してしまい、なんとオールフルフラット仕様‼ これで操縦席とリビングルームの行き来は自由自在。


山口県にあるというコバルトブルーの海を探して旅に出たふたりは、いよいよLani&Mooは山口県へ突入します。次回の「車泊の旅へ。コバルトブルーを求めて編」第2章をお楽しみに。

この特集記事へのご感想や応援メッセージもお待ちしております。またBLUERでは、Lani&Mooの皆様のエリアへの訪問リクエストも受付中!!専用メールへメッセージをお送りください shahaku@bluer.co.jp


(c)車泊プロジェクト|#shahaku Project Team & Special Supporters|CARVIN -カーヴィン |C-PRIME -シープライム| BLOOM -ブルームコーポレーション|LANI SURF -ラニサーフ

※このプロジェクトに賛同・協力くださっているメーカー・企業の皆様、旅の撮影にご協力いただいていたLani&Mooサポーター、各地域の皆様に心から感謝申しあげます。
※撮影には多くのローカルの方やサポーターの方の協力により写真や動画を撮影しております。皆様により臨場感を感じて頂くため、要所で同乗による風景撮影をしております。
今後も安全第一で撮影してまいります。
*出典:海岸線の長さデータ「CIA World Factbook」より

北村 吉代/ Team BLUER

北村 吉代/ Team BLUER

●きたむらよししろ。Team BLUER & Producer. JPSA公認プロロングボーダー。旅人。「車泊の旅」主宰。24h常に一緒に生活し柴犬ラニを溺愛。●柴犬Lani (ラニ)Birth 2007.11.14 メス。性格はやさしくて思いやりがある。自分を人間と思っている。日本で一番旅行している柴犬