
結界-Kekkai-
Protective Boundary
カリフォルニアのビーチは、まさに社会が育て、守ってきた資産だと思う。あの奥行きのある広い砂浜は、ただ自然に残っているわけではなくて長年にわたる海岸保全と継続的な維持管理によって、その景観と環境が守られている。
ワイキキにも、かつてカリフォルニアから運ばれた砂によって浜辺が整備された歴史がある。現在は州外から砂を運ぶのではなく、沖へ流出した砂を回収し、再び浜へ戻す「砂のリサイクル」によって海岸が維持されているという。
海岸を守るためには、長期的な視点と投資、そして地道な管理が欠かせない。そう考えると、こうしたビーチは単なる観光地ではなく、自然環境であると同時に、文化や暮らし、地域経済を支えるアメリカの大切な資産なのだと思う。
一方、日本の海との関わり方は少し異なる。日本では、海は観光の舞台である以前に、漁業や物流、国土保全を支える生活と産業の基盤として捉えられてきた。そして同時に、海と陸のあいだに明確な境界を設け、内側を守る感覚も強いように思う。
防波堤や護岸、堤防は、防災や侵食対策のための構造物である。けれど景観として眺めると、それらはどこか、鳥居のようにも見える。海という大きな力に対して「結界」を張り、暮らしの側を守っているような、日本独特の空間感覚がある。
カリフォルニアでは海へ向かって空間が開かれ、日本では海とのあいだに境界をつくる。
どちらが優れているということではなく、自然条件や歴史、産業、文化の違いが、それぞれの海岸の姿に表れているのだと思う。
アメリカにはアメリカの海があり、日本には日本の海がある。その違いも含めて、どちらも美しく、守る価値のある資産なのだと思う。
by N.Tanaka
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